テーテンス事務所の歩みHISTORY

はじめに

テーテンス事務所は、名実ともに日本で最も古い設備設計事務所で既に100年以上の歴史を誇ります。そしてその歴史はアウグスト・ペーター・テーテンス(August Peter Tetens 1883~1966以下、テーテンス氏)が建材社(現大気社)に招聘されて来日した時から始まります。
初版の『テ—テンス事務所のあゆみ』が編集されたのは、2013年5月でした。テーテンス氏の個人事務所から「有限会社テーテンス事務所」に改組して50周年を迎えたことを期に社史の様なものをまとめようということになったわけです。

大きく分けるとテーテンス事務所の歴史は、下記の6つの時代に分かれます。

テーテンス氏のノート

誰も100年史を書くつもりが有った訳ではなく、まとまった資料はほとんど残されておりません。
古い内容についてはいくつかの資料から拾い出し、法人化以降は何人かの記憶を頼ってまとめていくことになります。
主な資料としては下記の4つになります。

テーテンス氏ノート
英語で書かれ、年代、件名、システム、ボイラー容量{単位はBTU(1BTUは0.25kcal/h)}が記入されており、これを元副所長 初川吉洋が日本語に抄訳されたもの(日付55.1.28)があります。
ノートはタイプで打たれており、備考に手書きでボイラー能力が記入されています。期間は来日時の1914年~1935年、1ページ約20件程度、ページ数50ページ、Total 約1,000件掲載されています。日本空調史に於いても貴重な資料なのではないのではないでしょうか。
空気調和衛生工学会編「日本建築設備年譜」
この時期(昭和48年1月発行)を逃せば以降編纂できなかったのではないかと思われるほど、質、量ともに優れた本となっています。この中から直接テーテンスの名前が記されている項目、自筆記録と照らし合わせて建材社時代に担当したと推測される物件の抽出を行っていきます。
大気社80年史「(平成6年発行」
建材社時代のテーテンスの仕事がかなり詳しく書かれており、社史というだけではなく空調技術史、当時の外国人技術者に対する時代まで感じることが出来るドキュメントになっています。建材社時代についてはほとんどこの本からの引用になっています。
葉山所長時代に作られたテーテンス事務所「経歴書」(旧経歴書)
戦後の物件を順番に並べただけのものであり、件名、方式、所在地が記入されていますが、始めの部分は年代の記入が有りません。多分1950年頃から始まり2003年(平成9年)まで、重複している物件もあると思われますが、ザット1,500件くらい掲載されています。
  • 戦後、1945年(昭和20年)~1955年(昭和30年)について初川のメモが有ります。
  • 他に水澤工務店の社史、INAX REPORTでの葉山の対談等を参考にしていきます。